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鍛冶医師クランベリー
『ダイヤモンドは、貴重な石というだけでなく、
この世界のあらゆるものの中で最も価値がある』 |
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世界図書館メイド長ププッピマリー
その言葉は、たしか『魔界博物誌』にあった……
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ええ、編纂者であるキソディカ=プリニウスの言葉よ
さすがによく知ってるわね? |
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『魔界博物史』は魔界の全存在の網羅を目指した百科全書ですから……
世界図書館で働く者は、みな敬意を以て拝読しております。 |
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あら、そうだったのね……それなら、プリニウスが
ダイヤについて記したもう一つの言葉も、きっとご存知ね? |
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「地中に隠されている物が、我々を惑わし、狂わせる」
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ふふ、ご名答……
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プリニウスの生きた時代には、
魔界の地中から今より容易にダイヤを発掘することができました。 |
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でもそのことが、各地で様々な紛争、そして伝説を生むことになった……
『希望のブルーダイヤ』も、その頃に生まれた伝説のひとつね。 |
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『希望のブルーダイヤ』……発見当時は113カラットの大きさを誇り、
魔力を込めると赤い燐光を発する、奇跡のような美しさの宝石ですね。 |
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ええ、でも『希望のブルーダイヤ』の伝説は、
その美しさが主役ではない…… |
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「『希望のブルーダイヤ』の持ち主は、魔界において強大な力を
得ることと引き換えに、自らにとって"大切なもの"を失う。 いつしか人々は、このダイヤをこう呼ぶようになった。 『呪いの宝石』、と──」 |
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さすがは世界図書館所属……まさに生き字引ね♪
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しかし、この「伝説」には多くの反論があります。
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反論?
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はい。伝説では、この『希望のブルーダイヤ』を手に入れた持ち主は、
次々不幸な目に遭って命を落としたと伝えられておりますが…… 実際には、持ち主たちは幸せに寿命を全うしているのです。 |
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でも、本当にそうなのかしら。
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……何か疑念がおありですか?
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ええ、たとえば……
「幸せに寿命を全うした」という話は、どこの誰が記録したの? |
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それは確か……「希望のブルーダイヤ」の持ち主であった
本人の話を、伝記作家が記録していたものと記憶しております。 |
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やはりね……
「幸せ」というのは、「本人から出た言葉」なのよ。 |
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まさか……!!
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おそらく『希望のブルーダイヤ』の「呪い」は、
持ち主の「記憶」にまで干渉する性質を備えている。 |
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……たしかに、そう考えれば「持ち主が不幸な目に遭う」という事実と
「実際の持ち主は幸福だった」という状態は両立いたします。 |
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ええ、きっとそ性質があるからこそ、この伝説には
多様なバリエーションが存在し、話者によって認識が異なるのよ。 |
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なるほど……
しかしこの『希望のブルーダイヤ』にも、確かなことがございます。 |
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確かなこと?
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はい。
先刻、魔剣機関に登録されたあの魔剣は…… 間違いなく、この「伝説」に関係しているということです。 |
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希暴石リリア、ね。
でも、武器にあしらわれた宝石は、血のように赤いと聞いたけど…… |
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「『希望のブルーダイヤ』は、魔力を込めると赤い燐光を発する」
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……!
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おわかりいただけたようですね。
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ふふ、盲点だったわ。
魔剣機関、また厄介な魔剣を見つけてきたものね? |
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魔剣化した「呪いの宝石」は、一体何を引き起こすのか……
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わくわくするわ♪ 楽しみですわ♪ |