|
クラン
ふふっ! 決めた、決めたわ!
ここに行けば、きっとぽかぽかで最高な気持ちになれる……! |
|
マリー
おやクラン様、何事かと思いましたら、
その手に持っているのは旅行雑誌ではありませんか? |
|
|
マリーも『魔界の歩き方』を知っているの?
いつも図書館にいるからこういうのには興味ないかと思ってたけど。 |
|
ガイドブックであろうと本は本。世界図書館のメイドとしての嗜みです。
それに、たまの休暇に旅行へ行くこともあるのですよ? |
|
|
そうなのね。
実は私も寒くなってきたから、温泉にでも行こうと思って、 行き先を探していたのよ。 |
|
温泉ですか、それは心が踊る響きですね
魔界に温泉は数多くありますが…… クラン様は一体どちらを目指されるおつもりですか? |
|
|
ふふふ♪
魔界で一番の温泉といったら、あそこしかないじゃない! |
|
あそこ……まさか、それは『有魔の湯』でしょうか?
あらゆる病やコリに効くという、百薬の長とも言われる温泉。 行き方すら秘匿されているはずですが…… |
|
|
それがちょうどツアーを見つけたのよ!
有魔の管理組織が企画しているっていうし、 ここなら……えっ、ええええええ!? |
|
どうしたのですか、クラン様?
|
|
|
なんで、なんでこんなに高いのよ!!
こんなお金を払えるの、どこかの王くらいじゃない!! |
|
どれどれ……
確かに、これは私どもには手が出せない金額ですね。 さすがは魔界一の温泉、ここまでとは。 |
|
|
はぁ……確かに温泉は霊地としての側面があるものね。
六大異変とまではいかないけれど、規制されておかしくないわ。 でも……うぅ、憧れの有魔の湯に手が届かないなんて…… |
|
クラン様、諦めるには早いのではないでしょうか?
そのような重要な土地であれば、然るべき伝承が残されている。 そして伝承があれば…… |
|
|
なるほどっ! そこには魔剣がいるはずねっ!!
|
|
ええ、魔界で一番の温泉。その伝承より生まれし魔剣こそが
……蒸気砲バーデンです。 |
|
|
浴衣姿で足湯をしているなんて、見るからに温泉って娘ね♪
もしかして、温泉を生み出すのが能力なのかしら? |
|
はい、バーデンは有魔を中心に温泉そのものの伝承より生まれた魔剣。
あらゆる効能をもつ温泉を無限に湧き出すことができると言われています。 |
|
|
つまりバーデンちゃんがいれば、いつでもどこでも温泉三昧♪
もう入浴剤もいらないなんて、最高の魔剣ね! |
|
もちろんSランクと判定されるほど魔剣として強大であり、
回復の力だけでなく、相手を浄化して無効化することにも秀でております。 |
|
|
温泉に肩まで浸かってのんびりしたら、
嫌なこともどっかに飛んでいっちゃうものね♪ 一家に一魔剣、ほしい子だわ! |
|
…………ですが、
そううまくいかないのが魔剣でもありますよ? |
|
|
……え?
|
|
クラン様はまだ温泉という力の表層しか理解しておられないようです。
温泉はいったい何処から現れるとお思いですか? |
|
|
それはもちろん、大地の奥……ああ、なるほどね。
|
|
ええ、お気づきになられたように、
温泉とは星の生み出した力。星が持つ灼熱のエネルギーの副産物です。 |
|
|
バーデンちゃんも温泉という形で力を出しているだけで、
その原点にはより大きな星そのものが潜んでいるというわけね。 |
|
なのでどの魔剣と同じく取り扱いには注意が必要なのです。
うっかり粗雑に扱ってしまったら…… |
|
|
大自然と同じ。
小さな人間にはコントロールしきれないことになる。 |
|
つまりはこういうことです。
|
|
|
温泉に入る時はルールとマナーを守りましょう
|
|
それさえ守れば、きっとバーデンも
優しく包み込むようなぬくもりを与えてくれるはずです。 |
|
|
ちゃんと温泉という奇跡に感謝をしながら入らないとね。
|
|
それでは、バーデンが我々をどんな形で癒やしてくれるのか。
|
|
|
そして私たちが正しくバーデンちゃんと向き合うことができるのか、
|
|
わくわくするわ♪ 楽しみですわ♪ |