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クラン
奇跡…起きないかしらね…
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マリー
どうされたのですか、クラン様?
外を見ながらため息をつかれるなんて |
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実は、入手困難だった魔剣の本が近くの古本屋に入ったって聞いてね
『これは奇跡よ』って思って、買いに行ったのよ |
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なるほど……
それなのに結局、手にいれることはできなかったと…… |
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そうなのよっ!
走っていったら、ちょうど買われちゃって! |
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それはまた…残念でしたね
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うぅ…! 今度あの本に巡り会えるのは、何年後かしら…!
奇跡が起きてほしいわ…! |
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ですがこの場合、
ただ奇跡が起きても解決とはなりませんよ? |
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え、どういうことかしら?
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クラン様にとっては不幸でも、先に購入された方にとっては、
本とのめぐり合わせは奇跡であったのですから クラン様に必要なのは、クラン様だけに都合のいい奇跡となります |
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たしかにそうね……
誰かにとっての奇跡は、誰かにとっての不幸にもなりうるわ |
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ですので、望む結果を得るならば奇跡を待つよりも、
奇跡を利用する力が必要ということでしょう、ミステリオンのように |
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天煌の冥ミステリオン……
サクラメントと同じ天煌の名前をもつ魔剣ね ということはサクラメントやアラストル=リナと同じで… |
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はい。奇跡を操り、利用する力を有しています。
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確かサクラメントは、奇跡の手順を教える魔剣
その通りに行動することで奇跡を引き寄せることができたわね |
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一方で、アラストル=リナは魔剣でありながら生命を生み出すという
奇跡を起こすことができます |
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考えるほどに面白い魔剣たちよね
それでミステリオンはどんな奇跡を起こせるのかしら? |
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サクラメントに近く、望む奇跡を引き寄せる力を持っています
しかし方法は異なっており、ミステリオンは世界にアクセスして、 奇跡へのショートカットを作る魔剣なのです |
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世界にアクセス? それって悪魔の鍵みたいな概念ね
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ミステリオンの場合はもっと強引な手を使うようなのですね
世界の壁を壊してこじ開け、裏側に至ってしまう 言うなれば、世界に対するハッキング行為です |
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なるほどね……私たちの生きるこの世界を表層と捉えた時、
この大地の下のように全てがつながった一つの存在があるとも解釈できる |
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ええ、つながりがあるのならば、
手順を無視してどのような事象でも呼び起こすこともできるのでしょう そして、それは我々からは奇跡のようにしか見えません |
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本質的には世界に対する解釈を捻じ曲げる能力…
奇跡の名前がつくし、私たちはそうとしか認識できないけど ミステリオンはとても高度な技術で事象を操っているのね |
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いかがでしょう?
今のクラン様にぴったりな魔剣だと思いますが |
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うーん、たしかにそうだけど……
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なにか、ご不満でも?
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能力に関しては言うことないわ
でも、この魔剣を使うことはとても危険だとも思うのよ |
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危険…でしょうか?
確かに奇跡というのは得てして不安定な力ですが… |
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ううん、そうじゃないのよ
ミステリオンは世界の裏側を見通し、利用する魔剣 つまり、使う者は自分たちの世界の脆さに直面しないといけない |
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…たしかに、そうですね
私たちは無意識に世界は正しく、強固に成り立っていると信じていますが それが根底から覆されてしまいます |
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毎日のように魔界が滅びそうな出来事は起こっても、
この世界の脆弱性なんて意識しないものね |
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つまりミステリオンを使うものは、
自分の生きる世界すら、信用することができなくなる、と |
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だから、私はやめておくわ!
私が本を欲しがったのも、この魔界でもっといい暮らしをするためだもの♪ |
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ふふふ♪
確かに、知らぬがなんとやらともいいますし、 その考え方も確かに正しい判断かもしれません |
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でも、もしこの世界の真の恐ろしさを知ってでも、力を求めたいなら、
ミステリオンはとても大きな助けになるでしょうね |
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ええ、世界から奇跡を引き出すハッカー
彼女を使いこなすことができれば、 魔界を思いのままにすることも不可能ではありません |
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そんなミステリオンを手にした時、マスターがなにをもとめるのか
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そしてミステリオンと共に、
世界の真実に挑むことができるのか |
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わくわくするわ♪ 楽しみですわ♪ |