|
クラン
まったくなんてこと…!
こんなことが起こりうるなんて…! マリー、そちらの準備はどうなの? |
|
マリー
すでに世界図書館の全職員には
厳戒態勢を指示しております |
|
|
私の方もアスクレピオスの防衛システムを最大まで展開して来たわ
何事も起きなければいいけれど、 それを期待するのはあまりに楽観的すぎるというものね |
|
始まりの魔剣…原初六魔剣の使い手が変わった
それはまさに魔界史が塗り替わる事態です 魔王戦争の更なる活発化は避けられないでしょう |
|
|
ラグナロク、そしてテュフォーン
彼女たちの新たな主が、果たして力を御しきれるかも不安材料ではあるし 原初六魔剣の奪取を目論む勢力も現れるでしょうね |
|
ですので魔剣機関も、
原初六魔剣の性能開示という大きな賭けに出たようです さきほどこちらの資料が世界図書館へと届けられました |
|
|
あの魔剣機関が、そこまで情報を開示したの!?
原初六魔剣の詳細な性能なんて秘中の秘じゃない…! |
|
それだけ魔剣機関も今回の事態を重く見ているということでしょうね
我々も資料を読み解き、来る脅威へと備えましょう |
|
|
まずは焔華剣テュフォーン…
この子はまさに魔界の歴史の生き字引とも言える魔剣ね… |
|
はい、かの初代魔女王の魔剣にして、
その後も魔焔領を治める魔女王に代々受け継がれてまいりました 魔王戦争の初期から最前線にて活躍する古強者です |
|
|
魔界三国エキドナの要
炎の大地と同じく、強力な…いえ、その程度の言葉では表現できないほどの 焔を操ることができる原初六魔剣よ |
|
興味深いのは、当初の性能が突出した魔剣ではなかったことでしょう
火属性魔剣には炎から拡大解釈された能力がつきものですが テュフォーンの力はシンプルに炎を生み出し操ることです |
|
|
だというのに、
これまで何百年もの間、エキドナを攻略できた魔王候補はいない それら全てをテュフォーンは己の炎のみで退けてみせたわ |
|
なのに他より優れた能力を持ち合わせていないということは、
能力に依らず、 魔剣としての力が圧倒的であるという証明ですね |
|
|
たしかに一見するとシンプルな魔剣
だけどシンプルだから、その力が極まれば弱点は皆無というわけね 炎の出力や、応用においても極限まで練り上げられているはずよ |
|
結果がそれを受けて生き残ったものはいないという
「究極の一なる焔」なのでしょう |
|
|
……これは、怖いわね
|
|
クラン様、お顔の色が…
|
|
|
個の魔剣としての成長を極めに極めた魔剣がテュフォーンよ
元のシンプルな性能からしても、力だけを引き出すのは苦労はしない だけど…それを使いこなせるかは全く別の問題なの |
|
歴代の魔女王はテュフォーンの御し方も受け継いできたでしょうが
新たな主にはその智慧がない、 それが災厄の引き金となりえるということでしょうか? |
|
|
そう、これほどの魔剣の取り扱いを間違えれば、
自分を燃やすだけじゃとどまらない、 一つの国を、魔界全てさえも灰燼にすることもありうるわ |
|
おそらくそれは最悪のパターンでしょうが、
ありえないといい切れないのが原初六魔剣の怖さですね そして、そんな原初の魔剣がもう一つ… |
|
|
覇王剣ラグナロク…
太陽聖域の太陽王が求め続けた原初六魔剣よ |
|
ええ、さらに言えば
かつて圧倒的な力で魔界に覇を唱えた覇王の魔剣でもあります |
|
|
テュフォーンが歴史の生き字引なら、
ラグナロクはまさに伝説の再臨 この目で見る日が来るとは思ってもみなかったわ |
|
その長き封印が解かれたというだけでも一大事件ですが、
覇王の手から離れ、新たな主の元にあるというのは 天変地異にも等しい事態です |
|
|
驚いてばかりもいられないわ
私たちにできるのはラグナロクを理解して備えることだけだもの そして…さすが魔剣機関、古い資料も含めてよくまとめているわ |
|
その王の在り方からも交戦記録は豊富な魔剣ですからね
これによるとラグナロクはテュフォーンと異なり、 対応力を極限まで高めた魔剣と言えるようです |
|
|
敵対する相手の能力に応じて、力を増す魔剣
同種の力を持つ魔剣は他にも観測されているけれど、 ラグナロクの応用の幅はすごすぎるわね… |
|
ええ、覇王の道に立ちふさがったあらゆる敵
その全てを倒すために備わった力と言えるでしょう |
|
|
自分が強くなっても、ラグナロクは必ずそれを超えてしまうなんて
こんなの一対一の状況下では倒すのはほぼ不可能よ…! まさに覇道を歩む魔剣ということね! |
|
テュフォーンと違って、
能力の暴走という点での心配は少ないかもしれませんが… |
|
|
危険度は変わらないわよ
だってラグナロクの主はあらゆる欲望を通す力を持つのと同義なんだから もし邪な思いを抱いたとなれば魔界がどうなるか想像したくもないわ |
|
さすがは原初六魔剣、
どのような動向を辿ろうと魔界に与える影響は計り知れませんね… |
|
|
そしてなにより…
もうマリーも理解していると思うけれど |
|
ええ……
|
|
|
最も大きな問題は、
この魔剣機関の資料と私たちの知識は既に過去のもの、 意味を為さなくなったということよ…! |
|
現在のラグナロクとテュフォーンは
『真解放』によって新たな姿を得ています あまつさえそれが固定され、維持された… |
|
|
一体どういうことなのかしらね…
これまでも『真解放』に至った魔剣使いと魔剣は存在したけれど、 それは決戦時における一時的な解放だったわ |
|
これは既存の『真解放』から変化した特異例といえるでしょう
そしてこの異常事態において、 原初六魔剣の性能そのものが変化しないとも限りません |
|
|
極弐解放や潜在解放みたいに
魔剣は魔剣使いとの関係性によって姿や力を変えることができる 原初六魔剣であっても例外ではないものね |
|
おそらく魔剣機関が我々に資料を開示したのも、
その可能性を見越してのもの 早急に新たな知見を集めるための対照材料としてはまだ有用ですから |
|
|
これは困ったわね…
原初六魔剣に加えられた新たな変化なんて 度合いを判定するのも困難な脅威よ |
|
ええ、魔剣の強さという一側面だけを見ても、
『真解放』の永続化によって強化されたことは明白ですのに、 さらに能力まで変化した可能性があるとは… |
|
|
私たちが直面するのは未知の脅威ということ
たとえ仮初めの平穏であっても 各王の元でにらみ合っていたときのほうがよほど平和だったわ |
|
クラン様、どうされますか?
あるいはこの事態を先んじて鎮圧するという選択肢も 我々にはございますが? |
|
|
そう、ね…
たしかに安定と平穏を求めるならば、 不安の芽を摘むという選択肢もありえると思うわ |
|
…しかし、それはしないと
|
|
|
自分でも不思議なんだけど、
今のこの状況に興奮して、ドキドキしている自分もいるの だって長い均衡が崩れて歴史が動こうとしているのよ? 魔界に生きる者として、こんなにワクワクすることはないじゃない? |
|
はい、私も同意見です
お嬢様も面白く思っていることでしょう この先に待っている結末は何であるか、と |
|
|
ふふ、年甲斐もなく震えてしまうわ…!
テュフォーンがその焔でどんな未来を照らし出すのか! |
|
ラグナロクが切り拓く、新たな覇道とは
いったいどのような道のりなのか |
|
|
わくわくするわ♪ 楽しみですわ♪ |