|
クラン
うーん、困ったわね…
ちゃんと隠れてくれたかしら? |
|
マリー
どうされましたか、クラン様?
なにやらお顔を気にされていますが |
|
|
あっ、マリー!
顔のここあたり変に見えないわよね? 虫さされをファンデで隠したんだけど |
|
どれどれ…大丈夫です
ちゃんと隠れていると思いますよ? |
|
|
よかったぁ♪
今日の夜は大事なパーティーがあるから 心配だったのよ♪ |
|
パーティーですか?
|
|
|
けっこうなVIPたちも来るって言うから
美人鍛冶医ここにありって知ってもらうの♪ そうしたらスポンサーがついて…ふふふ♪ |
|
なにやら怪しい企てをされていますが、
虫刺されよりも、そちらがバレないように お気をつけてくださいませ |
|
|
だいじょうぶよー♪
心の中なんて簡単に分からないもの♪ |
|
いいえ、そうとも限りませんよ?
例えば…クーラ=ミェルゾンを使えば どんな真実も明らかになるでしょう |
|
|
クーラ=ミェルゾン…
あの偽証の魔旗ラーゼ=ミェルデンとも なにか関係があるのかしら? |
|
ええ、伝承においては
ラーゼを生み出したミェルデンの弟が クーラの服を織ったとされています |
|
|
と、いうことは
この拘束着みたいな服も ラーゼみたいに…? |
|
おや、クラン様には
クーラの服が見えているのですか? 私にはなにも見えませんが? |
|
|
心が綺麗な人には見えない服ということは
マリーにも見えているでしょう!? |
|
私についての真偽はさておき、
クラン様がおっしゃる通り クーラの服は純粋な者には見えないのです |
|
|
しかも
クーラは全ての真実を暴く魔剣だって 魔剣機関の資料には書いてあるわね |
|
ええ、クーラを用いることで
敵はあらゆる策略を使うことすらできなくなり 純粋な勝負へと引きずり出されます |
|
|
勝負に勝つために考えを巡らせるという
ごく普通の思考を封じられるなんて 戦場では厄介極まりない能力ね…… |
|
しかも本人もその能力にふさわしい
自分のありのままを晒したい魔剣なのだとか |
|
|
あ、ありのままって…え!?
服は邪魔とか、そういうこと…!? |
|
はい、むしろ服は呪いによって
無理やり着させられているだけだと 主張しているようです |
|
|
ま、魔剣使いにとっては
別の意味でも恐ろしい魔剣じゃない…! |
|
見た目も目麗しい少女ですからね
服がないままでは連れ歩くだけで一騒動です |
|
|
しかもそんな子が服を脱ぎたがるのよ!?
とんでもなく危険よ! |
|
魔剣としても魔剣少女としても
使い手の技量が求められることは 間違いありませんね |
|
|
呪いで服が脱げない上に
服が見える人が大部分だっていうのがせめてもの救いだわ ……でも不思議ね? |
|
どうされましたか?
クーラについてなにか疑問が? |
|
|
同じ特性の服を着ているのに
ラーゼは偽証を織り重ねて、クーラは真実を暴く こんなに真逆なのはどうしてかしらってね |
|
そうですね…
機織りのミェルデンとミェルゾン兄弟で 理想の方向性が違ったのでは? |
|
|
真実と嘘……もしかして
|
|
クラン様?
|
|
|
あくまで推測だけど、
機織りの兄弟はどちらも真実を暴かれることを恐れていた そして二つの魔剣が生まれたのかもね |
|
ですがクラン様?
ラーゼと違い、クーラは真実を暴く魔剣ですよ |
|
|
ええ、だから因果が逆なのよ
クーラはそうつくられた魔剣なのではなく 真実を隠された側。そう考えると辻褄が合うわ |
|
まさか…たしかに伝承では
ミェルゾンはクーラの服を仕立てたとしか 伝わっていませんが |
|
|
確かに私たちにはクーラもラーゼのような旗に見えるけど
それはミェルゾンがクーラを隠そうとした結果とも解釈できない? つまりクーラの本体は重なり合った嘘の向こう側にある… |
|
ですが待ってください。それが真実だとしたら…
封印されているにも関わらず、 クーラは真相を暴き出す魔剣であり続けていると? |
|
|
真実は救いでもあるけれど、
同時に逃げ場のないそれは暴力にもなりうるわ 皆、なにかしら偽りの庇護の元にあるもの |
|
しかし疑問なのは
ミェルゾンほどの偉大なる魔術師が手を尽くしても 封印できないものなのでしょうか? |
|
|
それほど元のクーラが強力だったのか
あるいは…この封印の抜け穴自体が意図的なのかもね |
|
…なるほど
ミェルゾンはクーラの力をコントロールできるようにしたという解釈ですね |
|
|
嘘をあえてまとわせることで、
真実を嘘があるからこそ際立つものだと定義したのね そうすれば嘘の全てを暴くことはなくなる 同時に真実の価値さえも消えてしまうから |
|
であれば、ラーゼにあれ程の偽証を行う力があるのも納得できます
鶏が先か卵が先かという話でもありますが、 クーラへ用いた虚実による封印から、 暴力的な真実に対抗できる存在としてラーゼを生み出したのかもしれません |
|
|
あくまで可能性の話よ
でもただ服を脱ぎたがる子だという捉え方をすると 取り返しの付かない事態になるかもしれないわね |
|
彼女の言うままに服を脱がせると、
その真の力が目覚めてしまうというわけですか |
|
|
この子を使うなら、
真実を隠したままにしておくのがよいのか 魔剣使いとして選択を迫られることになる |
|
あるいは魔剣使い本人も
美しいクーラの真実の姿を見たくなる可能性もあります 事実として魔剣少女の彼女は可憐ですから |
|
|
魔剣としても少女としても
厄介極まりないと言えるかも知れないけど…ふふ♪ 魔剣使いがこの魔剣の真実とどう向き合うか |
|
そして本当に
クーラのありのままを魔界に示してしまうのか |
|
|
わくわくするわ♪ 楽しみですわ♪ |