|
クラン
はぁ…つかれたわぁ…
|
|
マリー
おや? どうされたのですか、クラン様?
そのようなお顔をしていたらせっかくの美貌が台無しですよ? |
|
|
ふふふ、マリーがそんな気遣いをしてくれるなんて…
私の疲労のオーラは相当ひどいみたいね… |
|
オーラなど見なくとも、
世界図書館の床に伸びているクラン様を見つければこうもなります |
|
|
このまま床の上で干物になりそうよ…
でも帰ったら、連休明けの魔剣使いたちからの依頼が大量に… 夢にも見るのよ…机に積まれた書類に潰される夢を… |
|
仕事をしなければ日々の糧は稼げないとはいえ、
忙しさも身を滅ぼす…世知辛いものですね |
|
|
せめて寝ている間の安らぎがほしいわ!
なんにも考えないでホカホカの布団と枕に沈んで眠りたい! そんな夢のような力を持つ魔剣はいないの!? |
|
ではそんな限界を迎えたクラン様のために、
クラン様の願いを叶えてくれる魔剣を紹介いたしましょう |
|
|
本当に!?
|
|
マスターをぬくぬくで安らかな眠りに誘ってくれる魔剣、
リリスファミリーのリヴィア=リタンです |
|
|
ちょっと待ってよ、マリー!
本当は怖いリリスファミリーの悪魔魔剣ちゃんじゃない!? |
|
活発な子が多いファミリーの中でのおサボり、のんびり担当
彼女の与える眠りはこの世のものとは思えないほどの快楽だと言われます |
|
|
知っているわよ、その展開!
寝たら最後、二度と起きることはないってオチになるんでしょう!? ぜったいに身を委ねるわけにはいかないわっ! |
|
…………
ふかふかでほかほかの枕でぬくぬく |
|
|
くうっ!?
|
|
やわらかい毛布に、ホットアイマスク、
枕元には優しい香りの魔ロマディフューザー… |
|
|
ぐぅうううう!
|
|
それら最高の睡眠環境に匹敵するといわれる
リタンの眠りを拒絶できるのですか? |
|
|
うぅ、も、もちろん、こと、わ…断れないわよぉ!
私も気持ちよく、ぬくぬくにしてほしいわ! |
|
このように恐怖と警戒心を抱いていたクラン様を
陥落させるほどに、睡眠欲とは強烈で抗いがたいものです 追い詰められたからと安易に手を出すのはお気をつけください |
|
|
はーい…
|
|
おわかりいただけましたら、
さあ、床から立って、ご自宅へ帰ってから休んでください 世界図書館で倒れているよりもよほど有意義ですよ? |
|
|
ありがとう、マリー
でも今の話を聞いて、ゆっくりするわけにもいかなくなったわ! |
|
クラン様が、立ちました…!
|
|
|
マリーが説明してくれたように、
睡眠は人が生きるために必要な、食事と同じくらいに活力の源! それを支配する悪魔魔剣が魔界にいるのなら |
|
人々は抗いがたい欲求に従って、深い眠りにつき
リヴィア=リタンに魂も肉体も好き放題にされてしまうでしょう |
|
|
それは紛れもなく魔界の危機よ
|
|
ええ、その懸念はクラン様のおっしゃるとおり
さらにリヴィア=リタンはかのリリスファミリーの魔剣の一角であり、 温もりで包み込む、嫉妬を司りし悪魔魔剣……侮れません |
|
|
今の私がリタンちゃんの前に立ったら、
一秒だって待てずに、ぬくぬくしてほしいって頼んじゃうわよ はやく対策をとらないと。全魔界の住人に強烈な目覚まし時計を! |
|
ですがそれはリタン様が無差別に魂を狙えばの話です
その心配は無用かと |
|
|
えっ? それはどうしてかしら?
|
|
たしかに彼女は強大な悪魔魔剣ですが、
しかしそれ故にむやみに力をふるうという行為には及びません なにせ睡眠という行為の根源にあるのは安堵の感情ですから |
|
|
言われてみればそうね…
人々が眠ることそのものに怖がってしまったら逆効果だもの |
|
そして彼女が司るのは嫉妬の罪であり、
嫉妬の独占欲が向かう対象は他ならぬ彼なのです、 リタン様は他の者に目移りなどできないでしょう |
|
|
ふふ、マリーの言う通りね
寝不足と疲れで判断を急いでしまっていたかしら |
|
よいパフォーマンスには適切な睡眠が必要不可欠ですから、
どうか今夜は心配事を忘れて、お休みください |
|
|
逆にリタンちゃんから狙われた彼は眠れない夜を過ごすのかしら?
…でも、そんなイメージはないわね♪ |
|
すでに悪魔魔剣たちとの付き合いも長い彼のことです、
リタン様を翻弄しているかもしれませんね |
|
|
じゃあ今度彼に会った時に聞いてみるとしましょうか♪
|
|
悪魔の抗い難い温もりに抗うことができるのかどうか
|
|
|
逆に彼女を包み込んでぬくぬくにしちゃっているのかどうか♪
そのお話を聞けるのが… |
|
わくわくするわ♪ 楽しみですわ♪ |